国と「美容文化」
美容は髪型や衣服、ファッション、色彩において、その国独自の風習、習慣、政治、文化から強い影響を受けて発展してきました。
髪型に関して言えば、日本は髪結(かみゆい)が始まりであり、庶民から普及したのに対し、ヨーロッパでは貴族階級から始まった歴史があります。
衣服においては、日本では着物、ヨーロッパではドレスや洋服、ベトナムではアオザイなど、各国の用途に適した独自の個性的なファッション(民族衣装)が用いられてきました。
このように美容は、その国の歴史や風土を反映、象徴するものであり。いわば「美容文化」とも言える豊かで多様な価値観が形成され、それぞれの国ごとに存在しているのです。
したがって、その国の「美容文化」を理解することは、その国そのものを理解する基礎となり、入り口となりうるものだと思います。
ベトナムへの思い
平成20年頃の末頃から、ベトナムを何度か訪問する機会があり、そこでベトナムの人々の習慣や風習に触れ、学ぶことができました。
中でも、民族衣装やファッション、髪型などには強い興味を抱きました。
そこにはやはり、日本では見られない独特の美的感覚、色彩感覚などが色濃く見られ、ベトナム独自の「美容文化」が存在していました。
非常に興味深い側面を見せてくれたベトナムの「美容文化」を、多くの日本の人々が知り、ベトナムの美容文化を理解、習得し、一方、ベトナムの人々が日本の過去の美容文化、ならびに美容における様々な先端技術を理解、習得すれば、ベトナムと日本の「美容文化」の相互理解と浸透が深まり、「美容文化」を中心とした新たな交流と価値が創造できるのではないか、と考えました。
そこで、ベトナムと日本の「美容文化」を融合させ、新たな交流と価値創造を支援し、促進する活動ができないものかと考えるに至ったのです。
さらに、私がベトナムに着目したもうひとつの理由は、私が住んでいる堺市が古くからベトナムとの交流が深く、それを縁として堺市内にベトナム領事館が置かれているという事実があることと、そのような歴史的背景があるにも関わらず、堺市民の方々がベトナムの文化や風習、習慣をあまり知らないという側面に関心を持ったからです。
そのことも、ベトナムと日本の相互理解と交流を図っていきたい、という考えを生んだきっかけとなりました。
ところで、ベトナムと日本の法律や制度はかなり異なります。
日本人は比較的に容易にベトナムに渡航できますが、逆にベトナムの人々が日本に渡航するには、エンジニアや通訳など、一定の技能を持っていることなどの種々の条件をクリアしなければならないという現実があります。
また日本ではね国家資格としての美容師資格がありますが、ベトナムにはありません。
こういう状況は、美容文化交流を行うことにおいて障害となります。私はこういった状況をひとつひとつクリアしていくことで、多くの両国国民が、活発に「美容文化」における交流ができるようにしたいと考えました。
法人設立の意義
以上のような意志・目的を実現し、大阪府民とベトナム国民の架け橋となって広く活動していくには、公正且つ、透明性の高い運営のもとで、社会的信用を得ることが重要であると考え、そのためには活動組織の法人化が不可欠であると考えました。
ただし、営利は目的としておらず、「美容文化」を中心とした相互交流の支援、促進に主眼を置いているという観点から、会社法人の形式はふさわしくないと考え、非営利活動法人の形式を取ることとしました。
私たち「日越美容文化研究会」は、その事業活動を通じて、ベトナムと日本の文化交流に大きく寄与することを目指します。
日越美容文化研究会
代表 小森 豊